ゴルフパートナーが、あなたのゴルフを変える画期的シャフトとして「黄色いシャフト」のE.I.Fを発売開始してからすでに1カ月半が経つ。この間、ゴルフパートナーでは、関東近県の「ゴルフパートナー練習場」で合計6回、試打会を開催してきた。その結果はどうだっただろうか。
事前に予想していたとおりのものもあれば、予期していなかった反応もある。今回は、これまでの試打会でわかった「黄色いシャフト」に対するゴルファーの反応や、そのゴルファーたちを相手に日夜奮闘しているお店側の反応を中心にお伝えしよう。
ゴルフパートナーが新発売したE.I.Fシャフト、通称「黄色いシャフト」の開発者、櫻木博公氏はこの1カ月半ほど、過去に経験したことのない手応えを感じている。9月初めに発売して以来、これまでに関東近県の6か所のゴルフパートナー練習場で試打会を開催してきたが、回を重ねるごとに周囲の反応が目に見えて変わってきたのだ。
「試打をしてもらったお客さまの反応がいいのは、ある程度、折り込み済みでした。シャフトの性能にはそれくらい自信があった。でも私が嬉しかったのは、それとは別のまったく予想していなかった反応があったからです。何だかわかりますか?」
櫻木氏はもったいぶって問いかけてきた。自分の思いを強調したいときに、あえて自分から答えをいわず、相手に考えさせようとするのは、昔から櫻木氏のクセである。
「私はね、NEXGENブランドを長年やってきたけれども、自分が『喜ばれているな』、『待たれているな』、『期待されているな』と感じたのは今回が初めてですよ。それもゴルフパートナーの店長からそんな雰囲気を感じている。これが何よりも嬉しい」
ゴルフパートナーが手掛けるNEXGENブランドのクラブは、2006年にシリーズ第1弾を発売して以来、モデルチェンジを繰り返しながらリリースしてきた。その中でも今回の「黄色いシャフト」は、盛り上がり方が明らかに違うという。
「そう。皆さんが期待して試打会の開催を持ち望んでいる。クリスマスやお正月を前にした子供たちみたいにワクワクして待っている様子が手に取るように伝わってくるんです。こんなこと、初めてですよ」
櫻木氏は、お店の反応はお客さまの反応だと信じている。「黄色いシャフト」に対するお客さまの反応がよかったから、お店の反応も変わっていった。そしてその反応は当然ながら次の試打会場にも伝わっていく。
人間は興味のある情報は自分から取りにいく。それこそが口コミの伝播力で、1回目の試打会場から2回目の試打会場へ、そして3回目の試打会場へと次々に伝わる間に「黄色いシャフト」に対する評価はどんどんヒートアップしていった。それを肌で感じたのが、試打会場で櫻木氏を迎える店長たちの態度だったという。
「試打会場を訪れると、どの会場でも店長が真っ先に出てきて、私が説明するシャフトの話を食い入るようにして聞いてくれるんです。なぜだろうと考えた。そして、ハタと思った。試打会場には先に試打クラブを送ってある。当然、評判を聞いた店長は自分で打ってみたに違いない。その印象がよかった。それも半端なくよかったから、このシャフトを開発した人の話も聞いてみたいと思ったんじゃないか。いままでのNEXGENでは、店長がわざわざシャフトの話を聞きに来るなんてありえなかったことです」
今回の「黄色いシャフト」の試打会が予想していた以上の成果を上げている理由を、櫻木氏は次のように分析する。
第1に、ゴルファーの85%は飛距離不足とスライスに悩んでいる。「黄色いシャフト」は、その2つを克服するシャフトとして開発された。ということは練習場にくるお客さまの85%を対象にした商品になっている。
第2に、これまでのNEXGENブランドは、練習場の常連客・メインのお客さまの求める商品になっていなかった。対して「黄色いシャフト」は常連客やメインのお客さまが心から待ち望んでいた商品(つまりは店長自身が胸を張って勧められる商品)になっている。
第3に「黄色いシャフト」は、上記の常連客・メインのお客さまに受け入れてもらえるよう、彼らのヘッドに付け替える「リシャフト用」に発売した。言い換えると、お客さまは自分のヘッドで「黄色いシャフト」の性能を試すことになり、結果、自分のヘッドについているオリジナルシャフトと比較し、否応なしに「黄色いシャフト」の性能の高さを体験させられる羽目になった。これがよかったのではないか。
もし、「黄色いシャフト」をNEXGENのヘッドにつけて試打会場に持ち込んだとしたら、果たしてゴルファーはここまでの関心を持ってくれただろうか。櫻木氏はいう。
「ゼクシオのユーザーがNEXGENに興味を示しますか? テーラーメイド・グローレのユーザーがいきなりNEXGENに取り換えますか? 残念ながら、現段階では『ノー』です。だけど今後はわかりませんよ。1年後にお客さまのほうからNEXGENを指名買いしてくる状況が生まれるかもしれない。私はそうなるようにしたいと思っているんです」
そのためには、まずはお客さまが「黄色いシャフト」を手に取って試打する状況を作ってやらないといけない。それがNEXGENよりも、はるかにブランド力のあるゼクシオやテーラーメイド、タイトリスト、キャロウェイ、フォーティーン、ピン、ブリヂストン、ミズノ、ヤマハなどのヘッドに「黄色いシャフト」をつけたドライバーを試打してもらう作戦だった。
試打してみた結果は、それらのヘッドについているオリジナルシャフトよりも明らかに「飛び」が違っていた。だからこそ多くのゴルファーが感動し、「飛ばすのはヘッドではなくシャフトなのだ」という認識を新たにしたといえるだろう。
ゴルファーには大なり小なり、クラブに対する「こだわり」がある。そのこだわりはブランドへの信頼といってもよいだろう。
ゼクシオブランドを信頼して、長年使ってきたゴルファーは、ゼクシオがモデルチェンジをするたびに、新しいゼクシオに買い替える。新しいゼクシオが『自分に合う、合わない』は関係ない。たぶん練習場の常連客の大半はそんなゴルファーだ。そんな人たちを相手にNEXGENのヘッドをつけた「黄色いシャフト」を差し出しても、まず受け入れてはもらえなかっただろう。
だが、ゼクシオのヘッドにつけた「黄色いシャフト」には誰も抵抗を示さない。ゴルファーがこだわっているのはゼクシオのヘッドであって、シャフトはフジクラやグラファイトデザインでも、さほど気にしていないからだ。
逆に店長の立場に立っていえば「黄色いシャフト」をつけたNEXGENは勧めにくいが、ゼクシオ(のヘッドにつけた黄色いシャフト)なら容易に試打を勧められる。
言い換えると、店長にとっても常連客に声をかけやすい初の商品ができた。そして実際に勧めてみたら誰からも「いいね」といわれ、とりわけゴルフをよく知っている人ほど高い評価を下してくれる。そうしたことも店側から「期待され、待たれている」一因ではないかというのが櫻木氏の感想である。
ゴルフパートナーでは、この1カ月半のあいだに200本近い「黄色いシャフト」の注文を受けた。櫻木氏はその注文の1つひとつに目を通して、個々のゴルファーのスウィングに合うようヘッドの重さやグリップの重さ、シャフトの長さなどの微調整の指示を出しながら、いくつかの発見をしたという。
「一番大きな発見は、世の中、オーバースペックのクラブを使っている人がいかに多いか、ということでした。極端ないいかたをすると、ゴルファーの7~8割の人がオーバースペックのクラブを使っています」
なぜ、多くのゴルファーはオーバースペックのクラブを使いたがるのか。ゴルファーには見栄っ張りが多いのだろうか?
そうではない。これまで自分に合うシャフトがなかったからだ。だから「R」では軟らかいけれども「S」だと硬いという人は、中間をとって「SR」を選んでしまう。
では、「SR」なら合うかというと、そんなことはない。シャフトが自分に合っているのではなく、たまたま「シャフトに自分を合わせて打っている」だけだからだ。当然、状況が変わると簡単に当たらなくなる。お店で試打をしたらナイスショットが出たのに、コースで打ったらまったく当たらなかったという経験はないだろうか。
シャフトに自分を合わせていると、お店の試打室から広々としたゴルフコースに出ただけで、タイミングが合わなくなる。ゴルフスウィングで一番難しいのは「タイミング」だが、コースに出て、自分から打ちにいった結果、肝心のタイミングが合わなくなるのだ。
連載1回目と2回目で説明したように、「黄色いシャフト」は、シャフト自身が勝手に「タメ」を作る構造になっている。
【連載第2回:シャフトでゴルフは変わるのか?】
をもう一度、読み返してほしい。
多摩練習場で試打した人たちは、40代のアスリートゴルファーから65歳のシニアゴルファーまで、またヘッドスピード50m/s横山健司プロから、ふだんはLシャフトを付けたレディス用ドライバーを使っている40代の女性ゴルファーまで、「黄色いシャフト」を試打したすべてのゴルファーが「タイミングが合わせやすい」「勝手にタイミングが合ってくれる」と証言した。 このような反応は、その後、関東近県で開いた5回の試打会でもまったく同じだった。
ゴルフのスイングで、ゴルファーが一番苦労するインパクトのタイミングを、シャフト自らが勝手に作ってくれる。「黄色いシャフト」の最大の特長はここにある。
これまでのゴルフクラブメーカーは、ヘッドとシャフトの機能分担の中で、ヘッドの機能を強調することで差別化を図っている。もっといえば、「ボールを飛ばすのはヘッドだ」とアピールすることで他メーカーとの違いを訴え、ブランドを確立してきた。
だが、「黄色いシャフト」は、どのメーカーのヘッドにつけても、「飛んで、曲がらないボール」が飛び出す。言い換えると、ボールを飛ばすのはシャフトなのだという「シャフトの機能」を見直した、世界初のシャフトなのである。
「ボールを飛ばすのはシャフトだ」と、それは開発当初から櫻木氏が言い続けてきた、いわばシャフト開発に人生を賭けてきた技術者としての信念でもあった。
「そうなのです。シャフトの機能を見直してもらうためにも、ゴルファーの皆さんには、いままで自分が愛用してきたドライバーのヘッドに『黄色いシャフト』をつけて試打してもらいたいと考えた。NEXGENのヘッドを外して、シャフト単体で売ることにより、シャフトの機能がより明確に理解してもらえると考えているのです」
その結果はどうだっただろうか?
ゼクシオのヘッドであれ、テーラーメイド・グローレのヘッドであれ、ヘッドのいかんに関わらず、「黄色いシャフト」をつけたドライバーは、もともとついていたシャフトよりもはるかに飛距離が出ていた。試打会に参加したゴルファーは全員、「クラブはシャフトでこんなにも変わるのか」という事実を、まさに身をもって体験したのである。
ところで、ゴルファーの大半はオーバースペックのクラブを使っていると前述したが、中でも特徴的だったのは、「自分はゴルフがうまい」と思っている人ほどオーバースペックのクラブを使っていたことだと櫻木氏はいう。
「オーバースペックのクラブとは、総じてシャフトが『硬い』、『重い』、『長い』という特徴を持っています。そんな難しいシャフトでもなんとか使えるのは、そのゴルファーが毎日練習しているからです。言い換えると、自分はうまいと思っているゴルファーは豊富な練習量で難しいクラブをなんとか使いこなしている。だから、歳をとったり、体調がよくなかったりして練習を怠ると、とたんにタイミングが合わなくなって当たらなくなる。その不安があるから、自称うまいゴルファーは皆さん練習をよくするのです」
う~ん、認めたくないような、認めざるをえないような(笑)。いちゴルファーとしてはなんとも複雑な心境だが、逆にいえば、自分でうまいと思っているゴルファーは、「黄色いシャフト」を使えばいままでより、うんとラクにゴルフができるということでもある。そして、それこそが「黄色いシャフト」にとって最大のビジネスチャンスになることはいうまでもない。
なぜなら、ゴルフ練習場の常連客やメインのお客さまは例外なく「自分は上手い」と思っている。初心者や、明日がコンペだから、と訪れるお客さまは「常連さん」ではないからだ。となると店長がふだんから声をかけて馴染みになっているようなお客さまは、すべて「黄色いシャフト」の試打対象者になる。思い出していただきたい。「黄色いシャフト」は、次のようなゴルファーをターゲットに開発されている。
●かつてシングルで鳴らした(もともとスウィングはいい)けれども、飛距離が落ちたためにゴルフに対する情熱を失いかけているゴルファー。
●スイングはできているのに、飛ばない悲哀を囲っているゴルファー。
●練習は熱心だけれども、スライスに長年悩んでいるゴルファー。
●女性や高齢者などの非力で飛ばないが、ゴルフが大好きなすべてのゴルファー。
すべてのゴルファーがスイングに悩まされずに、ゴルフをもっと心から楽しめるようにしたい。そんなお手伝いができるシャフトを作りたい。櫻木氏の願いは、いま徐々に現実味を帯び始めている。
「黄色いシャフト」は、これから関西や九州へと、試打会場の範囲を次第に広げて本格的な全国展開へと入っていく。ホームページをチェックして、あなたの町の近くで試打会が開催されることを確認したら、ぜひ会場まで足を運んでいただき、実際に自分の手に取って自分で試打して、その感触を確かめてほしい。
飛距離やスライスで悩むのは、もうやめにしてもらいたい。
それは櫻木氏のみならず、ゴルフパートナーのスタッフ全員の願いだという。
【ライター】高橋健二:67才、オフィシャルハンディキャップ9。ゴルフ雑誌を中心にゴルフノンフィクションや試打レポートをリリースしている。
開発者:櫻木 博公(さくらぎ ひろたか)
1944年生まれ。20年以上前からゴルフクラブの輸入、販売に携わる。その後、クラブデザイナーの竹林隆光氏との出会いをきっかけに革新的なクラブを開発。現在は、ゴルフパートナーの顧問として「ネクスジェン」のクラブ開発を行っている。