連載第2回:シャフトでゴルフは変わるのか?

反響続々、脚光浴びる「黄色いシャフト」

このコーナーで前回紹介した「黄色いシャフト(商品名:NEXGEN E.I.F)」に対する反響が、早くも全国各地から寄せられている。

「黄色いシャフトは、いつ試打できるの?」
「関西のお店で販売する予定はあるの? あるとすればいつごろから売るの?」
「一般のプロショップでは発売しないのですか?」

ゴルフパートナーの担当部門としてはうれしい限りだが、この黄色いシャフト、前回も説明したように従来のシャフトの硬さの単位であるフレックス「R・S・X」とはまったく発想を異にして開発された。いわばシャフトの硬さに関係なく、ヘッドスピードの速い飛ばし自慢の人から、非力な人やシニアゴルファーや女性まで、どんなゴルファーが打っても「飛んで曲がらないシャフト」としてリリースされたのだ。

従来もゴルフメーカーがいう「飛んで曲がらないクラブ」はあった。しかし、それは主にヘッドに手を加えて飛ぶように見せたクラブだった。つまりヘッドの重心距離や慣性モーメントを大きくしてスイートエリアを拡大し、それによって芯を外したショットでも比較的曲がりの少ない弾道が得られるように設計した、そういうクラブを「飛んで曲がらない」と称していたにすぎない。

飛びのエネルギーを生み出すのはシャフト

今回の黄色いシャフトは、シャフト単体で飛んで曲がらない弾道を作り出している。あえて強調するが、ヘッド自体は飛びのエネルギーを生み出さない。飛びのエネルギーを生み出すのはシャフトだ。そのことを改めて証明した画期的なシャフトなのである。

ただ、従来のクラブのイメージからすれば、「飛んで曲がらない」というキャッチコピーは、それを強調すればするほど「眉唾」と受け止められかねない。同時に、他メーカーが開発しえなかった画期的なシャフトであれば、当然、さまざまな雑音が入ることも予想される。

そうした雑音を排し、真に画期的なシャフトであることを証明するには、何はともあれゴルファー自身に実際に打ってもらうしかない。試打してもらって、本人が納得し、気に入ってくれた場合のみ使ってもらうよう、当面は試打会を中心に普及させていくのが得策と考えた。俗にいう「口コミ・マーケティング」である。

とくに若いころに飛ばし屋として自負しながら、歳をとって体力が落ちてから飛距離不足に陥り、それゆえにゴルフに対して興味を失いかけている人にはぜひ試打してほしい。そういう人を中心に、真のゴルフ好きをコアにして「黄色いシャフト」ファンを拡大していきたいというのが開発者・櫻木博公氏の願いである。

ゴルフパートナー練習場にて試打会を開催

その1回目の試打会が8月23日(日)に、「ゴルフパートナー多摩練習場」(東京都町田市小野路町3165番地)で開催された。同練習場は1階と2階合わせて40打席、奥行き200ヤードのゴルフパートナー直営の練習場だ。

試打会は1階の入り口に近い打席で、8時半~12時まで行われた。その様子を試打した人たちのコメントを交えながら紹介しよう。

「48インチとは思わなかった」

試打会の開催が場内アナウンスされて間もなく、申し込んできたのが出澤智之さん(51)、同練習場の常連さんだ。

愛用ドライバーは「キャロウェイX2HOT」にアルディラATX65-3.3のXシャフトを装着したもの。シャフトの硬さからもわかるようにヘッドスピード45m/s、ドライバーの平均飛距離250ヤードというガチなアスリートゴルファーだ。

試打クラブは「XXIO」に48インチのシャフトを装着したもの。試打を始めていきなり最初の2発は大きく右にスライスした。立ち会っていた櫻木氏がすぐに声をかける。

「いま、わざと軽く打ったでしょう」

「はい、自分が使っているXシャフトと比べて柔らかいと感じたので」

「遠慮はいらないから思い切り打ってよ。その際、トップの切り返しで左腰のスタートを気持ち速くしてみて」

とたんに見違えるような中弾道の真っ直ぐなボールが立て続けに飛び出し、奥のネットの中段に突き刺さる。10数発を打ち終えた出澤さんが感想を述べる。

「シャフトが軽くて振りぬきやすく、いじくりやすいシャフトだなと感じました。ちょっと長めで47インチくらいかなと思ったのですが、48インチとは思わなかった。長尺には思えないほど振りやすかったです」

続いて「グローレ」に46.5インチの長さのシャフトを装着した試打クラブに持ち替える。今度は1発目から強い中弾道のボールが飛び出した。何発打っても真っすぐ奥のネットに突き刺さっていく。

「これはいい。シャフト自体は自分がいま使っているアルディラのXよりも柔らかい印象ですが、その割にヘッドの戻りがよくてタイミングを合わせやすい。自分がイメージしたところにヘッドが戻ってくる。試しに1発だけ直ドラをやってみたら、タイミングがぴったりでした。リシャフトしてコースで使ってみたいです」

「ヘッドがどこにあるかを感じながら振れる」

続いて試打したのは出澤さんのゴルフ仲間の馬場貴広さん。愛用のドライバーは「X-DRIVE GR(2014)」にグラファイトデザインのPT-7のXシャフトを装着している。

出澤さん同様のアスリートゴルファーで、もともとついていたグラファイトデザインのMT―6Sでは物足りずにPT-7にリシャフトしたというほど。ヘッドスピードは48m/s。筋肉質の長身で、コンパクトなトップから放つドライバーショットの平均飛距離は280~300ヤードだという。

馬場さんは46インチと48インチの2つのシャフトを試打した。最初に試打した46インチのシャフトはボールがつかまりすぎて、チーピンに近いフックボールが出た。

「うーん、この短いのは軽すぎて僕には合わないな」

続いて48インチを装着したドライバーに持ち替えると、奥のネットの最上段に強い弾道の球が突き刺さった。何発打っても同じ弾道で飛んでいく。試打を終えた馬場さんが興奮気味にいう。

「これはいいですよ。重さが僕にぴったり。というかヘッドの重さを感じやすく、スイング中にヘッドがどこにあるかを感じながら振ることができるので、すごく使いやすい。いま使っているPT-7と比べてもインパクトでシャフトが当たり負けしない。懸念があるとすればPTよりも弾道が高くて、フケているのではないかという不安がちょっとある。でも打った感触はすごく力強い。実際に自分のクラブにリシャフトして、300ヤード先のボールがどんな感じなのか確認したいし、コースで使ってみたいですね」

アベレージゴルファーや女性にも感動を与えるシャフト

アスリート以外のゴルファーにも試打してもらった。この「黄色いシャフト」を本当に使ってほしいのは、いくらクラブを取り換えても飛距離が出ずに悩んでいる人たちだからだ。

3人目は冨澤光徳さん(53歳)。自分のクラブを打席に置いてきたので、スペックの確認はできなかったが、「平均スコア90、コースに出るのは月に1~2度」(本人)というアベレージゴルファーだ。冨澤さんには悩みがあった。ドライバーショットがチーピンばかりで、なかなか真っすぐ飛んでくれないというのだ。

冨澤さんは試打クラブに45.75インチのシャフトを装着した「XXIO」を取り出して、数発、打った。「チーピン」というほどではないが、たしかに左に曲がる力のない球が出る。
見ていた櫻木氏が早速アドバイスする。

「冨澤さんは自分で打とうとしています。インパクトゾーンで自分の手を動かしすぎです。自分で打ちにいかずに、ヘッドが下りてくるまで待つ感覚で振ってください。それにはトップの切り返しで3~4センチ、腰を先に動かしてダウンスイングに入るといい。あとは右手で打つのを控え、フォロースルーで思い切り左に振りぬく。それだけでいいですよ」

「シャフトがちゃんと仕事をしてくれる」

前回も紹介したが、25歳の女性と、65歳の男性の筋力はほぼ同じである。ということは飛距離も理論上ほぼ同じと考えてよい。にもかかわらず25歳の女子プロは230~250ヤード飛ばし、65歳の一般男性は170ヤード程度しか飛ばせない。

この違いはシャフトを上手く使っているかどうかによる。女子プロは「シャフトのしなり」を上手く使って飛ばし、一般男性は自分の力だけで打とうとする。それが飛距離にして60~80ヤードもの差になって表れる。櫻木氏が指摘したのはそのことだった。

櫻木氏の指摘を受けて腰の始動を早くする動きを2~3度繰り返した冨澤さん。
「そうそう、その動きでいいですよ」という櫻木氏のお墨付きを得て、再度、同じドライバーで試打すると、今度は見違えるようなドローボールが飛び出した。10発ほど試打した富沢さんの感想だ。

「こんなに気持ちのよいボールが打てたのは久しぶりです。このシャフトは軽くて振りやすく、ボールが気持ちよく飛んでくれる。シャフトの硬さは自分のドライバー(Sシャフト)よりも柔らかいけれども、ヘッドがちゃんとインパクトで戻ってくるし、方向性が抜群にいい。シャフトがちゃんと仕事をしてくれる感じで、すごく気に入りました」

か弱い女性が男性用ドライバーでナイスショット

隣の打席で打っていた中野洋子さん(仮名・40代)にも声をかけて、冨澤さんが試打したのと同じ45.75インチの「XXIO」を打ってもらった。

中野さんがふだん使っているのは、Lシャフトが装着された女性用ドライバーである。男性用ドライバーは使ったことがないという中野さんは最初、尻込み気味だったが、スイングがきれいなので十分に使えると判断してトライしてもらったのだ。結果は、1発目から気持ちのよい高い弾道のボールが飛び出した。

「女性用ドライバーよりは重たいけど、振れないほどではないし、むしろヘッドの重さを感じながら振れて、すごく打ちやすいです。インパクトでちゃんとヘッドが下りてくるイメージもある。飛距離ですか? 先ほどまで打っていた自分のドライバーよりもボールが高く上がり、キャリーで20ヤードくらい先に行っているような気がします」

53歳の男性が打ったのと同じドライバーを、か弱そうな女性が打って、しかも「振りやすく、球が上がって、距離が出ている」という。こんなシャフト、いままでにあっただろうか?

プロも絶賛、「シャフトが勝手にしなってくれる」

初めての試打会も佳境に入った頃、同練習場所属の横山健司レッスンプロが顔を出した。横山プロは大柄な体格でヘッドスピードは50m/s前後。軽く振って300ヤードの飛距離を叩き出す飛ばし屋である。飛ばし屋であるがゆえに「長尺は苦手」だという。

「以前、ゲロンディを打ってみたのですが、全部、右にいきました。だから長いドライバーは右に行くという刷り込みがされていて苦手です」

そんな横山プロに試打してもらったのが、代表的なシニア用ドライバー「XXIOプライム」に48インチのシャフトを装着したモデル。打つなり首を傾げ、続いて3発ほど打った横山プロが声を上げた。

「なにこれ。ヘッドがちゃんと戻ってくるよ。48インチでしょう。オレ、ヘッドスピードが50m/sなのよ。ヘッドスピード50m/sの人が本気で振って、打てるよ。ふつう考えられないでしょう」

あまりにも素っ頓狂な声に、打席を取り囲んでいた人たちからドッと笑いが起こった。

横山プロは、ほかにも用意してあった「NEXGEN」や「プロギアEGG」「XXIO」のヘッドに48インチのシャフトを装着したドライバーを片っ端から試打したが、試打後はいずれも親指を上に突き立て「グッド」のサインを出した。

「アマチュアはシャフトのしなりが使えないのが最大の弱点なのですが、これはシャフトが勝手にしなってくれる。ヘッドを重くしてもOK。シャフトを長くしてもOK。誰が打ってもヘッドが戻ってくる。この黄色いシャフトは従来のシャフトの概念では説明できません。間違いなく、誰にでも勧められる。シャフトの革命ですよ」

どんなゴルファーにお勧めかを総括してもらうと、横山プロからは次のような答えが返ってきた。

「ヘッドスピードのない人、ヘッドが戻ってこない人、フェアウェイウッドやロングアイアンのボールが上がらない人、力のない人、力はあっても曲がる人。すべてのゴルファーにお勧めできます」

まさに眉唾・・のような話だが、眉唾と思った人は試打するしかない。次回の試打会場で、ぜひお会いしましょう。

【ライター】高橋健二:67才、オフィシャルハンディキャップ9。ゴルフ雑誌を中心にゴルフノンフィクションや試打レポートをリリースしている。

開発者:櫻木 博公(さくらぎ ひろたか)

1944年生まれ。20年以上前からゴルフクラブの輸入、販売に携わる。その後、クラブデザイナーの竹林隆光氏との出会いをきっかけに革新的なクラブを開発。現在は、ゴルフパートナーの顧問として「ネクスジェン」のクラブ開発を行っている。