連載第6回:ヘッド重量によって変化するシャフト

ネクスジェン6シリーズ、ついに発売

ゴルフパートナーが「黄色いシャフト」(商品名:NEXGEN E.I.F)を発売してからすでに10か月近くが経過した。業界最大手の中古ショップがシャフトを自社開発し単体で販売するという、これまでになかった事業に挑戦しているのだ。全国各地で行われている試打会と、ゴルファーからゴルファーへの口コミで、その販売本数も1,900本に迫る勢いだ。

そんな中、3月にはこのE.I.Fシャフトを標準装備したクラブ「NEXGEN6」シリーズが発売され、前作比180%以上という驚異的な売上を記録している。このクラブに挿さっているE.I.FシャフトはNEXGEN6専用デザインの黒いシャフトだが、これまで紹介してきた「黄色いシャフト」と中身は全く同じものだ。

ややもすると「黄色いシャフト」がプロトタイプ(試作品)で、発売されたNEXGEN6が完成品と思われるかもしれないが、3月以降も「黄色いシャフト」の注文数は右肩上がりで全く衰えていない。それどころかNEXGEN6にわざわざ「黄色いシャフト」を挿すゴルファーまでいる。中身が同じあるに関わらず、だ。オーダーメイド感があるからかもしれないが、実はゴルファーによっては既製品からスイングウエイトを調整したほうが、いい結果になる場合もある。それについても後述しよう。

それではこの「黄色いシャフト」を注文しているのは、どんなゴルファーだろうか。

シャフトの役割とヘッドの役割

その前にまずNEXGEN6の説明をさせていただきたい。E.I.Fシャフトは「シャフトが仕事をする」言わば主役で、シャフトが勝手に飛ばしてくれる設計になっている。飛ばしのエネルギーをシャフトが生み出し、芯を食うタイミングもシャフトが作ってくれるように設計してある。従来のシャフトはゴルファーが自分でタメを作り、シャフトで叩かなければ飛ばすことができなかった。

E.I.Fシャフトはクラブ長とヘッド重量を活かすスイングをしてあげると、より高い効果を発揮する。短くて重たいクラブに慣れている熟練ゴルファーは、飛ばしたくなると無意識に叩きたくなってしまうものだが、E.I.Fならシャフトをただ横振りするだけでボールを飛ばしてくれる。ゴルファーが一生懸命になって叩く必要がないのである。

もしE.I.Fを使ってボールが右に飛び出すことが多いゴルファーは試してほしい。いつもよりワンテンポ早くタメをほどいて、シャフトを振ってみてほしい。振り遅れることなく、シャフトが叩いてくれる感覚を味わえるはずだ。スイング中の意識をヘッドではなく、シャフトに移すのだ。

それではヘッドが担当する役割は何か。まずはボールと衝突し、スイングのエネルギーをボールに伝えることだ。そして適正な打ち出し角とバックスピン量のコントロールである。NEXGEN6のヘッドはボールをつかまえやすくするために重心位置を深くして、その分ややバックスピンのかかるように作られている。E.I.Fはバックスピン量を抑えるシャフトだが、ヘッドスピードが43m/sを越えてくると、NEXGEN6のヘッドではバックスピンがかかり過ぎてしまう傾向がある。

「黄色いシャフト」はヘッド重量で変化する!?

NEXGEN6でつかまり過ぎを抑えるにはどうしたらいいだろうか。

一般的にヘッド重量が重たくなると、シャフトのしなり量を多く感じるようになる。ところが「黄色いシャフト」はヘッド重量が増すと、振ったときによりしっかり感じるようになっており、ボールのつかまりが抑えられるようになっている。カタログにヘッド重量まで載せているメーカーは多くはないが、NEXGEN6はヘッド重量を重視しており、ドライバーでは9.5°が196g、10.5°が192g、11.5°が190gという設計だ。

ヘッド重量が軽いほうがスイングウエイトが軽くなり、振り切りやすくなる。振り切りやすいからボールをつかまえやすくなるのだ。つまりNEXGEN6はロフトの大きいヘッドほどスイングウエイトが軽く、振り切りやすくなるのでつかまえやすく作られている。

単純なヘッド重量だけの話ではないが、NEXGEN6がつかまり過ぎると感じるゴルファーは、バック側のウエイト付近にほんの少し鉛を貼ってみることをお奨めする。わずか1gでも上級ゴルファーはその違いを感じることができるはずだ。

月刊ゴルフクラシックの恒例付録「重心ハンドブック」によれば、2016年モデルのヘッド重量の平均は198.3gとあるから、NEXGEN6のヘッドはやや軽めということになる。ここ数年はいわゆる「重ヘッド」が流行しており、2010年モデルの平均値194.1gから4g以上増加している。2008年の高反発規制以降、各メーカーは飛距離を伸ばすために長尺化に挑戦した。ところがやはり長いドライバーは振り遅れやすいということで、再びシャフト長を短くするようになった。クラブが短くなったために、ヘッドが重たくなったというからくりだ。

確かに振り切れるならば重いヘッドの方が飛ばしには有利であり、各メーカーが大きく宣伝しないながらも、ヘッド重量に注目していることがよく分かる。とはいえ重いヘッドを振り切るためにはある程度の力が必要になるし、重すぎれば振り遅れの恐れもある。それでもゴルファーはリスクを承知で「奇跡の一発」を期待して重ヘッドのドライバーを選ぶのだろう。

ところが今度は別の悩みが出てくる。それは、「シャフトを使い切れない」ということだ。重たいヘッドは加速させるのによりパワーが必要なので、「従来のシャフト」だとゴルファーはますます一生懸命になってシャフトで叩く必要がある。ここで「黄色いシャフト」の出番だ。200g超の重ヘッドに「黄色いシャフト」を挿せば、一生懸命叩かなくても振り遅れのミスを減らしてくれる。ヘッドスピードが速い人でもバックスピンを抑えつつ、真っ直ぐ遠くに飛ばせるようになる。

「黄色いシャフト」の注文者は、好みのNBメーカーはあるが、そのクラブを使い切れていない。「黄色いシャフト」のドライバーリシャフト注文のうち70%が9度ないしは9.5度のヘッドなのである。ロフトの立ったドライバーを使う、ヘッドスピードの速いゴルファーの多くは、「従来のシャフト」を使い切れていないことがわかる。そして「黄色いシャフト」にリシャフトしたことで、NBメーカーのクラブもオリジナルを上回る機能を発揮してくれるのである。

スペック選びが不要なシャフト

ヘッド重量によってシャフトのしなり感が変化するという、「黄色いシャフト」のすごさがご理解いただけただろうか。

「黄色いシャフト」はヘッドスピード35m/sから42m/s程度のごく普通のアマチュアゴルファーをメインターゲットとして開発がスタートした。ところが出来上がってみると、ヘッドスピードが43m/sを超えるような上級者、ひいてはプロゴルファーまで、たった1種類のシャフトで対応できている。ヘッド重量を変えることでシャフトが反応し、そのシャフトのしなりにゴルファーが反応して、適切なタイミングで切り返すことができるからだ。

4大メーカーとも言われる人気のシャフトメーカーがあるが、どのシャフトも1つのモデルの中に、重量やフレックスで10~15種類程度のスペックがあるのが普通だ。種類が豊富にあることで、様々なゴルファーにベストマッチするシャフトを探すことはできるが、探すこと自体が一苦労だ。さらに調子の良い時と悪い時、夏と冬とで最適なシャフトが変わることもあるので、ベストなシャフトを選ぶことは一層難しい。

その点「黄色いシャフト」はたった1種類のシャフトであらゆるゴルファーに対応できるので、スペックについての迷いは全くない。しかも「従来のシャフト」はベストマッチしたシャフトを選べたとしても、そもそもそのシャフトには、タメを作ってボールを飛ばしてくれるという「黄色いシャフト」の機能はついていない。あくまでもクラブの振り心地がよくなるというだけだ。ゴルファーが一生懸命叩かないと飛ばないことに変わりはない。

「黄色いシャフト」は、それを装着したクラブのヘッド重量によって変化する。そしてそれを振るゴルファーのスイングに反応して、最適な仕事をしてボールを飛ばしてくれるシャフトなのだ。

次回は「黄色いシャフト」を手にして以来、元のクラブに戻れなくなってしまったゴルファーの話をしよう。

【企画・制作・編集】ゴルフパートナー 商品企画部 ネクスジェン開発チーム


開発者:櫻木 博公(さくらぎ ひろたか)

1944年生まれ。20年以上前からゴルフクラブの輸入、販売に携わる。その後、クラブデザイナーの竹林隆光氏との出会いをきっかけに革新的なクラブを開発。現在は、ゴルフパートナーの顧問として「ネクスジェン」のクラブ開発を行っている。